山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」

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情報発信

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心を深く洗われる一文をいただきました

2018年6月26日

矢澤俊彦


私ども園の職員が、親しくさせていただいている東京の鈴木 直(ただし)先生より、メールが届き、老人ホームにおられたお母様を、最近天にお送りしたそうです。その晩年のご様子について見聞きされ感じられたことなどを私に送ってくださいましたので、その一部を先生のご了解を得て以下に、掲載させていただきます。



・・・(クリスチャンであった)

母は、いつでも周りの人々を愛し、特に心に傷を負っている人、社会的に恵まれない人には分け隔てなく手を差し伸べ、話に耳を傾け、苦しみや悲しみを分かち合おうとしました。5年間お世話になったホームでは認知症の方がよく母を慕い、母の後を追いかけるように部屋にやってこられたとのことです。父母の部屋がそんな方々のサロンになったこともありましたと、ある看護師さんは笑いながら話してくださいました。のちには母自身もまた認知症の症状を示すようになりましたが、それでも、御世話をいただいた介護や看護やリハビリの先生がたに、よく「あなたも大変ね、どうぞお身体に気をつけてね」と声をかけていたとのことでした。母が旅立ったあと、これまで献身的に御世話くださった先生や看護、介護、リハビリ、マッサージ他のスタッフの方々が次から次に母にお別れを言いに来てくださり、「道子さんにはいつも優しくしていただき、慰め、励まされました」と語ってくださったのがとても印象的でした。

 最後の半年間、母はこれまでのように他の方々のために何かをして差し上げることはできなくなりました。施設の中でも一番か弱い存在、他者を思いやるよりも、むしろ他者からの思いやりや支援なしには、自分自身が生きていけない小さく弱い存在になりました。しかし、それでもなお、母の面倒を見てくださった方々は口ぐちに「自分は道子さんから多くのものを与えられた」とおっしゃってくださいます。それはどうしてなのか。私はこの数日、そのことを考えながら過ごしました。

 私たちは普段、人を助ける余裕のある人、たとえば財力や学力や体力に余裕のある人、いろいろな意味で強い人、豊かな人こそが、そうしたものを与えられていない弱い人、貧しい人を助けることができるし、助けなければならないと考えています。でも、私は今回、母の生き方を通して、それは真実ではないということに気付かされました。自分では何も誇るものをもたず、何も他者に与えることができず、むしろ他者の助けなしにはまったく生きていけない絶対的な弱者が、その弱者のままの姿でなお、他者に何かを与えることができるということを、母の最後の半年は私たちに教えてくれたように思います。

 母は最後、次第に記憶力を失い、思考力を失い、認知能力を失っていきましたが、それでも目の前の人の愛情にいつも感謝し、その感謝を表明しようと努力しました。そして、その行為を通じて、医療、介護、看護、リハビリ、マッサージを献身的に施してくださる方々が、いかに尊厳に満ちた、すばらしい価値のあるお仕事をなさっておられるかを、繰り返し繰り返し、伝えようとしていたように思えます。そして時には、日々の過重なお仕事でお疲れになっているスタッフの方々ご自身が、ご自分でも時々忘れてしまいそうになるご自分のお仕事の意義や素晴らしさを、またご自身の価値を、もう一度、思い出してくださるように母は願っていたと思います。人が人の愛情を求め、互いにそれに応えようとする能力は、狭い意味での認知能力よりもはるかに人間を人間らしい存在にしているのだということを、私は母の旅立ちをみて学ばされました。


 さて、園長である私が、この文に深く心洗われ早速その日の職員会で紹介いたしました。また先生にホームページ掲載のお許しをいただきましたが、そこに次のお言葉が記されていました。

「看護、介護だけではなく、保育にたずさわるみなさまにも、ぜひぜひ、彼女たちがどれほど素晴らしい、深い意義のあるお仕事にたずさわれておられるかを、いつも忘れず、誇りをもってお仕事を続けていかれますよう、心より念じています。」





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園長

社会福祉法人 地の塩会
理事長 矢澤俊彦
荘内教会保育園
園長 諏訪瑞代
997-0034 山形県鶴岡市本町3丁目5-36
電話/FAX 0235-25-7070
ホームページ  http://skh.tyo.ne.jp/

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