山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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2025年1月23日
アメリカからの四つのニュース -燃えているこの世界-
矢澤俊彦
新年に入って世界から、特にアメリカからは悲喜こもごもの大きなニュースが入ってきました。今この世界は、私たちの想像を超えて激しく変化して留まるところがありません。きょうは、そのうちの四つの出来事を取り上げて皆さんと共に考え、祈りたいと思います。
ガザの和平実現 その第一は何と言っても長い間の外交交渉が実を結び、イスラエルとハマスの間の戦争が停戦の見通しとなったことです。一昨年十月、ウクライナ情勢に気を取られていた私達には寝耳に水のように襲って来たのが、このひどい戦争でした。それから約十五か月間、日々テレビに映る逃げ惑い殺され、子供も含め生きる極限状態に追い込まれた人々の姿を見ながら、何もできない自分達の無力を嘆きつつ過ごしてきたのでした。しかし、約五万人もの犠牲者を出したこの悲しい戦いもなお波乱含みながら、何とか夜明けの時を迎えているのです。沢山の人質や囚人だった人達も少しずつ解放されるという。その家族友人たちの喜びはどんなでしょう。
そしてこの解放のタイミングがふるっています。その翌日の二十日にはトランプさんの大統領就任式が予定されているのですから。彼は自分の力ゆえだと誇りたいでしょうが、これを目指し昨年五月から十五か月かけて営々と準備して来たのは、バイデンさんだったわけです。私はホッと胸をなでおろしながら、今の時代の困難も人間の叡智と努力によって、解決できることの一つのしるしではないか、と思ったのです。
米国の山火事 第二。この少し前アメリカからのラジオが連日何時間も伝えていたのは、カルフォルニア南部の大きな山火事です。これは私達日本人には驚くほかは無いスケールの大きいもので、山手線の内側二倍程にも達していると言うのです。しかもこの大火は都市部にも広がり約一万戸が焼失。何万人という人が家やふるさとから追われているというのです。「これは実に悪夢だ、無数の爆弾が落ちてきた感じ」、と住民は変る風向きを気にしながら生きた心地もしないありさまなのです。
この一番の原因は異常気象とされていますが、私達もそれこそ対岸の火災と見てはいられません。目立ったのは、不充分な数の中で必死におそらく不眠不休で命がけで消火にあたった消防士達の奮闘です。今の社会を支えているのは、こうした名前も知られない地味な人々なのだと、深く思ったことです。
さる十七日はあの阪神淡路大震災から三十年を経た記念の日でした。これもまさしく悪夢のような中で、約六千四百人という犠牲者を出してしまったのです。「何時何が起こるか分からない」と言われる時代となりました。災害だけでなく、不慮の事故や病気や死を避けられない私達。そういう定めの中でただ災害に備える、という次元を越えて「どんなことが起こってもたじろがない」という精神的心理的備えをどうしたらつくれるのでしょう。気がつけばこれは将来の事では無く、時代の猛火はすでに私達の戸口に迫って来ているのですから。
カータ―の生涯 第三は、アメリカがこの山火事で大騒ぎしているちょうどその時、ワシントンでは第三十九代のジミー・カーター大統領の国葬が行われていました。この人はフオードさんの後を受け、1977年から四年間大統領であった人。ちょうど百歳の長寿を生き、2002年にはノーベル平和賞を受賞しました。それはレーガンに負けてからの五十年に渡る半生を、世界平和と人道的支援活動に疲れを知らず情熱的に取り組んだことが評価されたためです。彼はニ十冊以上の書物を書いた優れた著述家でもあり、その自伝(『信じること働くこと』新教出版社刊)を読むと、彼が米国の最良の伝統を豊かに身につけた人であることが分かります。例えば幼児時代から父親に「嘘は絶対につくな」と厳しく躾けられたことなどが、おもしろく記されています。私はこれ程有益な本に最近出会ったことがありません。キリスト教の信仰を公的生活でも貫き、今の時代の危機は神様への確信の欠如にある、と言われました。驚くことにカーターさんは断続的ではありましたが、全生涯にわたって教会の「日曜学校」(サンデー・スクール)の先生であり、軍隊時代もそして九十歳をこえても、青少年や大人達に聖書のメッセージを教え続けたのでした。さらに、特筆したいのは、約七十年間連れ添った夫人ロザリンにいつも初恋時代のような新鮮さや慕わしさを感じていたことです。「彼女が微笑めば、小鳥たちは歌を歌うのを忘れてしまう。あるいは、僕が小鳥たちの歌を聴くのを忘れてしまうのか・・・彼女の髪は白くなったが今も同じ」と讃美の歌を捧げているのです。カーターさんは日本ではもう忘れられているかも知れませんが、大変魅力ある人物でありよき政治家の手本でもあるのです。
トランプの就任 第四は、二十日に就任したトランプさんです。すでに多くの物議をかもしていますが、果たして難題山積の中で平和な世界実現に導くことができるでしょうか。私達は大きな不安と若干の期待をもって見ていくことになるでしょう。
退任するバイデンさんが最後の国民向け演説で警告したのは、権力や富が驚くほどごく一部の人々に集中していること、国民が誤った情報やチェックされないフェイクニュースの洪水に流されがちなこと、又AIが国民の利益に反して用いられることなどです。
私達日本人もうかうかしてはおれません。私は先日米国のCNN(ケーブルネットワーク)で新しい国防省長官や司法長官候補者が議会での厳しい審問のつぶてを浴びている様子を聞いていました。その人物がその任務にふさわしいかどうかをかなり厳密に吟味されているのです。そこで私は米国の民主主義はまだまだ捨てたものでは無い、と感じるとともに私達日本人が政治の世界だけでなく、様々な場で行っている「質疑応答」とか「話し合い」の質の低さを痛感したのです(鶴岡市本町三丁目 日本キリスト教団荘内教会牧師・同保育園理事長)。
本文は荘内日報に掲載されました
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