山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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2022年6月15日
今「平和憲法」の意義を考えよう -不戦の誓いを生かすために-
矢澤俊彦
私は去る8月15日の敗戦(終戦)記念日の戦没者追悼式典を見ながら(毎年のことですが)この集いにはとても大切なことが欠けていることを、痛切に感じました。それはあの悲惨にして残虐な戦争という大きな過ちに対する反省の言葉がひと言も語られなかったことです。
200万以上の人々を前にして、彼らを戦死に追いやった国策の大間違いについての謝罪やざんげの告白がどうしても必要だと思われるのにそれができないところに相変わらず旧いものを払拭できない日本的体質があると感じます。
あの戦争は、特別に大きく長期間にわたる自然災害に襲われたのではありません。明治以来のあゆみをつぶさに振り返り、政府にも国民にもそこに度重なる失策があり、その結果もはやまったく取返しのつかない大変な事態を引き起こしてしまったという深い認識と責任を明確にし、それを内外に表明することがなお私たちの大きな宿題なのです。
中国、韓国をはじめアジア諸国の多くにも、日本軍の侵略のために犠牲となった数知れぬ人々がおり、その方々にも深き追悼と謝罪が捧げられねばなりません。
私たちは、あの8月15日をもって旧い軍国主義国家と断固決別し、まったく新たな国として生まれ変わったのです。その象徴であり国民的決意表明が「平和憲法」です。そこで私たちは、戦争や武力による威嚇を国際紛争解決の手段として永久に放棄したのです。憲法前文には、その並々ならぬ決意が大河の流れのように私たちを襲ってきます。
さて、あれから78年を経た今日。私たちは再び戦争と平和をめぐって重要な岐路に差し掛かっています。2月24日以来のロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、日本の防衛論議も沸き立ち、軍事費倍増や敵基地攻撃能力又核兵器共有の必要などが、声高に叫ばれており、多数の国民が不安と動揺の中に置かれています。その中で過日、戦没者を前に誓った「絶対不戦」という不退転の決意のタガが相当緩められつつある気がします。私は、ただ第9条を守れとだけいうのではありません。
いったいどうしたら戦争を防ぐことができるのか、その際理想と見える9条の意義がいよいよ輝いてくるのではないか。このあたりを透徹した眼で変転する現実を見据えながら、各自がしっかり考え意見を述べ、国民的な討論をするときがきているのです。(鶴岡市本町3丁目 日本基督教団 荘内教会牧師同保育園長)。
本文は荘内日報に掲載されました
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