山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」

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2022年6月15日

「敵を愛せよ」の教えの現代的意義
-あらゆる違いを超えて共存するために-

矢澤俊彦



 聖書にあまり親しんでいない方も「汝の敵を愛せよ」という教えは、お聞きになっているでしょう。あのインドのガンジーは、ヒンズー教徒でしたが、キリストのこの言葉一句により英国からの独立運動を非暴力で指導したのです。今ウクライナ戦争の中で、日本でも「仮想敵国」なる物騒な言葉が飛び交うこの時代、この教えの絶大な意義について考えてみたいと思いました。

 まずキリストの教えは、こういうものです。

 『「隣り人を愛し、敵を憎め」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである・・・』(マタイ伝5章)。

 仲間たちはいいが、敵など愛せるものか、とこの言葉をあざけり、バカにし、軽んじてきたのがこれまでの私たちでした。しかし今人類はみんな思い切って大きく頭を切り替え、この「愛敵の教え」と本気になって取り組まなければならない。実にのっぴきならない所に来ていると思われます。戦争を仕掛けてはおしまい。なんとか和解し、ともに生きることを何としても考えねばなりません。たとえ憎らしい敵を愛するまでは行かなくても、せめて人間として大事にする。相手の存在を認める。そして最悪でも相手を攻撃や排撃や威嚇の対象とせず、戦争には絶対に訴えない生き方がどうしても求められているのです。

 しかし実際人類は、様々な違いによって幾重にも分断され、互いに不安や恐怖を感じ、いがみ合っています。即ち個人的な性格、気質や性別をはじめとして、国々や民族、人種や言語、宗教や価値観、更に経済力などの大きな違いのために、私たちが安心して互いに交流し、共に生きることができません。これだけ世界が狭くなり、地球が一つの大きな船(宇宙船地球号)にたとえられる今日、世界中の人々をすべて「自分の仲間」として受け容れ合って生きることが、どうしても必要なのです。自分達の仲間だけを大事にして他の人々を憎むあり方は、清算されなければならないのです。現行憲法前文にもこうあります。

 「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」。

 この崇高な理想を現実化するには、どうしたらよいでしょうか。これこそ今の時代を生きる私たち一人ひとりの責任であり、人類のすべての叡智を結集してあたらねばならない大きな課題です。昭和の歴史をつぶさに研究した半藤一利さんは、これまでとは違う資質を持った人間の誕生の必要を強調し、それは具体的に次のような人間だ、と述べています。

 「征服欲、虚栄心、攻撃性、名誉欲、復讐心、暴力への恍惚といった感情」といったものから洗い清められた新しい情緒を持った人間だというのです。これこそまさに「敵をも愛せよ」との教えを具体的に言い換えたものです。

 さあ私たちはそういう心の底から平和を愛求する人間となることができるでしょうか。そんな次世代を育てることができるでしょうか。そういう人々であるなら、例えばこの度のウクライナのように戦争を仕掛けられても抗戦せず、初めから白旗を掲げて和解の交渉による問題解決にあたることができるかもしれません。とにかく戦争には訴えないことで、どれだけの人命を救い、国土と都市の荒廃を免れたかもしれないのです。このためには、19世紀までの戦争観を脱し、自国の利益より人類全体の益をはかるようなランクの高い指導者でなくてはならないでしょう。その高い決断に必ず報いることのできる国際社会を育てなければなりません。

 「天の父は悪いものの上にも良いものの上にも太陽をのぼらせ、雨を降らせてくださる・・・」。これこそこれからの人類の指導原理ではないでしょうか。

 これを身につけるための教育は幼児期から始まります。あらゆる学問も思想も科学技術も総動員されなければなりません。分けても優れた宗教の復活が肝要です。敵をも大事にする大きく激しく強い愛を雨のように人類に降り注ぐ必要があるでしょう。そうして私たちの精神が平和を創り出す強靭なものになって行くのです。敗戦直後の私たち日本人の悲願とまさしく符合するありかたです。「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(憲法前文)。【鶴岡市本町3丁目 日本基督教団 荘内教会牧師・同保育園長】。

本文は荘内日報に掲載されました



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理事長・園長 矢澤俊彦

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