山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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2022年3月21日
プーチンさん、気づいてください -全世界の領有も安全に至らず-
矢澤俊彦
プーチンさん、悪夢から目覚めてください「あっ、オレは何というひどい夢を見てきたんだろう」。そうです、今世界中の人が悲しみ、うなだれ、泣いています。世界中の巷や居酒屋等、人の集まるどこでもあなたの蛮行愚行の話でもちきり、怒りあきれかえり歯がゆい思いの中で叫んでいます。その声はお耳に届いているはずです。ロシアは日本人にも「ペチカ」や「赤いサラファン」等の歌や文学でも親しみ、十九世紀以来優勢な西洋文化の来入によって、日本と同じく苦しんできた歴史があるだけに、今の事態は黙視できません。
プーチンさんにも言い分はあるでしょう。ロシアが弱体化傾向にあるなかで、周囲の西側勢力によって囲まれ、追いつめられそうな様相を感じとって不安でならなかったのでしょう。しかし今回あなたが仕掛けた戦争は、ロシアを安全に導くどころか、全く正反対に世界の諸国民の信頼を失い、ロシアは今や非人道的な悪の大国という烙印がおされつつあります。これからの世界は武力による威嚇やその行使によるものでなく、諸国民が経済的社会的に助け合ってこそ実現できるとは、今や国際政治学のABCでしょう。この大原則を、プーチンさんあなたは何を思って踏みにじられたのですか。これほどの大失策はありません。あなたが悪夢から覚めないなら、貴国は軽蔑され、世界の孤児となり衰微して行くに違いありません。
そこでプーチンさん、以下のことをしっかりお考えになって下さい。そんな時間はないなどと言わないでください。あなたの権力は今大きなものがあります。あなたの決断次第で今の人類80億近い人々を安心させることも、逆にどん底の不安におののかせることもできるのです。平和の神様と結ぶこともできれば悪魔の手下に成り下がることもできるのです!プーチンさん、しっかりしてください。あなたに気づいてもらいたいことは、次の四つです。
1.人間の盲目 あなたは自分の命のか細さやひ弱さに気づいています
か。霧のように今出て来たかと思うと、たちまち消え去ってしまう…。あなたはあすの命も分からぬ身であることを、骨身に徹して考えたことがあるでしょうか。又人間は何の為に生まれて来たのか、どこへ向かって行けばよいのか、死んだらどうなるのか等、分かっておられますか。世界の指導者にはこれが大切です。そうでないと完全な盲目のままに、飢えた狼のように欲望を丸出しにして、周囲世界を荒らし回ることになります。
2.貪欲と野獣化 プーチンさん、人間の心というものはとてつもなく深く広いものです。例え全世界を領有した所で、あなたは内心の平安と満足を得ることはできないでしょう。あなたがどん欲の限りを尽くしたとしても、求める満足感や幸福は得られないのです。人間の幸せはモノの所有によるのではないからです。このことは貴国の文豪レオ・トルストイの生涯をみればわかります。彼は途中で気がついたのです。『戦争と平和』などの傑作に対する世界からの絶賛の嵐も、自分の空虚な心を満たすものでないことに。そこで彼は前半生全ての作品をゴミ箱に投げ捨て、作風を変えつつ、いわゆるシンプルライフに徹したのです。私たちお互いがこの気づきから遠ざかる時、その人が人間性をどれ程失ってしまうか、不安と競争心と限りなき欲望の為に、いつの間にか野獣化してしまうのです。権力ある人がそうなると、もうたまったものではありません。
3.人間に帰って プーチンさん、人命の尊さへの感覚をぜひ取り戻してください。あなたも幼少のころから今のようではなかったはず、人間らしい喜怒哀楽も経験してきたことでしょう。でも今あなたのやっていることは極悪非道、有史以来の数ある独裁者以上になりつつあります。今ウクライナ各地からの無数の人々の悲鳴は絶えることがありません。人の命は一度失われたら、もうどんな代償を払っても買い戻すことはできない。人を殺したものは、自分が殺される時に至って、自分がしたことに気づくと言われます。今ロシアの軍隊によって無残にも殺されていく無辜の民達の血の叫びは、あなたの残る生涯を漆黒の闇に染め上げることでしょう。
どんな小さな人間も人間です。自分と同様に血が通い、それぞれに楽しみも苦しみもありながら皆幸福を必死に求めている。どの一人も単なる物体でも動物でも無い、自分と同じ生き物なのですよ。
4.平和の砦の必要 プーチンさん、一刻も早く今の悪夢から覚めて下さい。何ということをしてしまったのかと悟り、人類の前に謝罪してください。私たちは皆戦争の即時停止を何より求めながら、私達自身もアメリカはじめ他の諸国も自分の生き方を深く反省したいと思います。大国のエゴイズムをのさばらせてはなりません。日本の場合も、歴史家の半藤一利さんは昭和の戦争の原因として、指導者と国民の「征服欲、虚栄心、攻撃性、名誉欲、暴力への恍惚といった感情」をあげ、これらを素地として植えつけられていない、新たな人間の誕生の必要を指摘しておられます。考えてみれば戦争の根は私達自身の中に深くあることがわかります。プーチンの蛮行を辞めさせることを祈ると共に、私達自身の内部に「平和の砦」(ユネスコ憲章)を築くために私ども自身の新たな誕生を目指したいと思います(鶴岡市本町3丁目 日本キリスト教団荘内教会牧師同保育園長)。
本文は荘内日報に掲載されました
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