山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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2021年1月16日
もろく壊れやすい民主主義 -アメリカの苦悩に思う-
矢澤俊彦
大統領選挙が不正に行われたと扇動された群衆が暴徒となり、連邦議会を襲撃、大混乱の中で大統領弾劾が議されているアメリカ。それを対岸で沈黙しつつ眺めている我が国民。我々は、やはり言挙げせぬ美徳を持つ「政治的天才」だと自賛し、米国を見下す資格があるのだろうか。
しかし、誰が見ても自己愛とわがまま丸出しの男が、ともかく任期末まであの職にあったというだけでも、周囲に合わせて言動をつつしみがちな日本人には驚きだ。海外には実に多様な人々がいることを思わせられる。
ここで考えたいのは、民主主義が独裁と隣合わせの危険にあること。先輩と思ってきたアメリカですら今の事態である。一人ひとりの声を生かした政治というものがいかに困難なものか。民主主義体制もどんなにもろく、崩れやすいものであるか。
実際、世界に民主主義を標榜している国は多いが、それがうまく機能しているように見えるのは、ほんのわずかであろう。あのナチス政権も民主的手続きで、のし上がっていったもの。我が日本の戦前も、元来は不十分ながら立憲制度のもとにあったことを思う。
大事なことは、国民一人ひとりが自分の考えをしっかり持つこと。そして発言し議論すること。口先だけうまい人に扇動されないために、たえずよく考え、自己批判力を高めることであろう。メディアからあらゆる情報が流れてくる時代。本当のもの見分けることがいかに困難かを思いつつ。
今、太平洋の向こうから、深い悲しみと嘆きの声が聞こえてくる。その苦悩を理解しながら、新政権の下でのアメリカ国民に激励の言葉を贈りたい。人類が様々な人々と平和的に共存できるかどうかの一大実験場なのだから。
鶴岡タイムスに掲載されたものです
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