山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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2020年7月14日
NHK深夜便の魅力 -人間性回復の爽やかトーク-
矢澤俊彦
◆人間性維持の危機 この度の新型コロナの襲来で感染し、思ってもいなかった命まで失ってしまった方は本当にお気の毒。なんだか私たちの身代わりになってくださったようで、おかけする言葉もありませんが、他方世界の人々がみんな困惑し、悲鳴を上げているのは、他人に近づき、密接に交流することが禁じられていることです。
もうかれこれ4ヶ月もそんな状態におかれていて、多くの人は頭もおかしくなりそう。精神のバランスを崩されないよう、みな必死なのでは?私もそこでなるべく色々な人へ遠慮せずにどんどん電話をかけたり、メールや手紙を出したりしているのですが。
そうしながら気づくのは、我々人間というものは、他の仲間と密接にふれ合うことなしには人間性を保つことができない、という確かな事実です。
この状態が今後1年以上も続けば、世界もこの列島もどんなに荒れ果てたものになってしまうか、想像するのも空恐ろしくなってきます。
◆深夜便の人気 さてそんな中で、かろうじて助けの手が届いていると感じるのはラジオ放送です。各局とも聞き手の状況を意識して色々努力し、楽しい話や音楽その他で、なんとか私たちが平静な精神を保てるように工夫しているのが分かります。私はそんな配慮をありがたく思い、感謝するものです。
その中でNHKが毎晩送ってくれる「深夜便」の魅力をきょうは御紹介したいと思います。これは午後11時過ぎから朝5時まで休みなく続くもので、少なくも5百万以上の人が聞いているといわれています。寝つけない人、早起きの人、ひとり暮らしの方や療養中の方。もちろんタクシー運転手や深夜働く人など、この恩恵にあずかっている多くの人がいるのです。
この放送は今30年目を迎えていて、昭和天皇の病状を夜通し伝えたことがきっかけとなったようですが、それからよくも続いてきたものです。きっと寄せられる多くの感謝や声援が支えとなってきたのでしょう。
◆与えてくれる安心感 私にとっての魅力の第一は、その内容と同時に、アンカーと呼ばれるアナウンサーの語りかけによる「パーソナル・タッチ」です。静かな夜です。そこに響いてくる優しい語りかけは不思議なもので、まさに自分一人だけにむけられたような雰囲気なんです。騒がしい世界はどこかに消え去り、アンカーと私が対座している・・・そこにもう孤独の翳(かげ)りはないのです。私はもちろん毎晩ずっと聞いているわけではありませんが、少しのふれ合いでもどこか心がなごみ、安心し、時に仲間のおじさんや、かわいい妹、あるいは母親のそばにいるような幸せな気分になるのです。人への密接が警戒される中で、ここには人間性回復のすばらしいチャンスがある。しかも小さなラジオがひとつあればいいのです。
◆個性的なアンカーたち アンカーは毎晩入れ替わり、2週間で14人が登場してくれます。男女半数ずつ(NHK的なワクはありますが)、それぞれとても個性があり、人により好みも様々であるのは無論です。ただ私が面白く思うのは、その声にその人のすべてが出ていることです。まさに「声は人なり」という思いがします。それはそうでしょう、休まず聞いていれば5時間ですから。お顔は分かりませんが、その人の感性や好み、対話の上手下手を思い、また性格や育ちはどうなんだろう、などあらぬことまで私の想像は広がっていきます。マイクの前に座るのはこわいことだなあ、などと実感します。でもアンカーさんたち、ごめんなさい、いつもごくろう様、大変楽しませてもらい感謝です。
ここまで述べてきたので、私の好んで聞くアンカーたちのお名前を挙げてみると、敬称略で並べてみましょう。森田美由紀、村上里和、遠藤ふき子、徳田 章、須磨佳津江、石澤典夫、後藤繁栄など・・・です。ただし、気づいて見ると数年も親しんだアンカーが、もう登場しなくなっている。私は、なんだか置き去りにされたようで・・・「さよならも言わないで」?という寂しさを感じることもありますが、こればかりはどうすることもできませんね
。
◆11時からは さて、放送の内容を少しご紹介しましょう。11時~12時台では、全国各地および世界各国と結んで行われる電話トークがとても楽しい。なかなか優れたレポーターが登場し、現地の様子をいきいきと、まるで絵画でも見せてくれるように伝えてくれるのです。その他、1時台まで含めるとその日替わりメニューは、実に様々で、有名人、俳優、作家、音楽家などとのインタビューをはじめ、古典文学の手ほどき、芸能や新作映画、低山の紹介、季節料理や養生訓、落語や川柳、今の日本語、そして「ラジオ文芸館」等々です。
◆2-4時は、名曲の乱舞です この時間帯では、現代世界のいろいろな音楽、たとえば最近では、ジャズ・フュジョン、ポピュラーヒット曲、クラシックの名曲、ポップス、有名アーティストの演奏、アダルトロック、映画音楽等々珍しいものも次々 。
3時ともなると、今度は日本の流行歌曲が年代、作詞家、作曲家、歌手別に特集されて流れてきます。最近では、中森明菜、研 ナオコ、青江三奈、ザ・ピーナッツたちの12、3曲を解説入りで流してくれるのです。戦前のものも含め、私にはゆっくり味わう機会がなかったものも多いので、まさに昭和時代の歴史を味わうようにして、これに聴き入ることがあります。しばしば眠気と闘いながら。
◆4時台は、「明日への言葉」 これは、深夜便の圧巻でしょう。それは、今活躍中の各界の人々が40分ほど縦横に話すインタビュー番組です。芸術家や作家、ミュージシャン、評論家、実業家、科学者、社会運動家、スポーツ選手、福祉の世界に生きる人など挙げればきりがありません。普通の生活では、とてもこれだけの人々に直接話を聞くことなど出来ないだけに、その語るところは、とても新鮮に響くのです。月刊誌『ラジオ深夜便』には、毎月その内の5、6人の話がまとめられていて、好都合です。
以上長々と記して恐縮でしたが、コロナ対策の一助にもなろうかと思い、記して見ました。最後に私の希望としては、この番組の愛聴者が3、4人でも時々集まって、気軽なおしゃべりでもしてみたらどうでしょう。ご希望の方は、ご連絡ください。電話は、0235-22-8196です(鶴岡市本町三丁目 日本キリスト教団 荘内教会牧師・保育園長)。
荘内日報7月22日号に掲載されたものです
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