山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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人にはどれほどの土地がいるか
2020年9月7日
(礼拝カード NO.21 お話 矢澤園長先生)
★ ある村にお米を作ったり、大根や梨やリンゴを作る人がいました。この職業をお百姓さんといいます。様々なものを沢山つくっていましたが、いつもこんなことを思っていました。「ああ、もう少し広い畑が欲しいなぁ。もう少し、リンゴや梨の木を植える場所が欲しいなぁ。もう少し広い田んぼが欲しいなぁ・・・。」
★ ある時、そのお百姓さんのところへ、旅の人がやってきて、こんなことを言うのです。「いい話があるぞ!ずーっと北の方へ1日かけて歩いた先に、田んぼや畑や、リンゴな梨やブドウの木が作れる、広い広い土地があるぞ!それをとっても安く譲ってくれると言うぞ」と言うのです。それを聞いたお百姓さん「これは、いいことを聞いた。自分も早速、朝早く出掛けて、その村へ行こう!」と思い、翌朝早く北の村へ出かけました。
★ 1日かけて歩いた先には、話に聞いた通りの村がありました。村に近づくと村の人が大勢、歓迎してくれました。村長さんも出てきて「大変だったね。疲れたでしょう。我が家にどうぞ」と招いてくれたのです。夕飯を食べながら、お百姓さんは旅人に聞いた話を村長さんに聞きました。「広い広い土地があって、その土地を安く譲ってくれるって本当ですか?」すると村長さんは「ええ、その通りです。その土地を得るには日が昇る時間に出発し、夕方、日が沈む時までに帰ってきなさい。その歩いた道に囲まれた広さの土地が全部あなたのものになりますよ」。歩けば歩くだけ広い広い土地が貰えるというのです。
★ そのお百姓さんは、朝早く起きて出発します。村の人も総出で見送りです。お弁当と水筒を持たせてくれました。日が昇ると同時に出発しました。そのお百姓さんはウォントンさんという名でした。そして、沢山歩けば沢山もらえると思うと、ゆっくり歩いてなんていられません。走るようにドンドン進みます。
★ 「おお、この土地はお米がとれそうな田んぼに向いているな。この土地はブドウ畑にいいな。」ドンドン歩きます。「やや!この土地はヒツジを飼うのにいい牧草地だ」。馬や牛の姿もありました。それが全部自分の土地になるかと思うと嬉しくて仕方がありません。村の人が持たせてくれた弁当なんか食べている時間はもったいなくて食べてなんかいられません。木々が生い茂る森もあります。「この森も自分のものになるのか!うれしいな」。ここでやっとお弁当を食べますが、ムシャムシャ大急ぎで食べ、大急ぎで水を飲みました。
★ お日様の様子を見ると、段々西の方、沈む方向に傾いてきています。夕方までに村に帰らないとなりません。でも、少し先に見える川や湖も自分のものにしたくなって、歩いていきました。日はどんどん傾いてきました。ウォントンさんは大急ぎで村へ走りはじめました。汗はかくし、暑くて仕方ありません。心臓がバクバク・・・・。もう少し、もう少し。村の人の姿が見えてきました。日は今にも沈みそうです。ウォントンさんは最後の力を売り絞って走りました。やっと村にたどり着きました。でもその時、「バーン!!!」心臓が爆発して止まってしまいました。村の人が褒めたたえる声もウォントンさんには聞こえません。
★ ウォントンさんは、あまりに欲張ってしまい、心臓が止まり死んでしまったのです。村の人はウォントンさんの倒れた場所に墓を作りました。あまりに欲張ってしまい、結局得ることができた土地は、墓の広さの土地だけでした。
ウォントンさんは、欲張ることなく神様にお祈りして「神様、ありがとうございます。そんなに広い土地でなくても十分です」と感謝し過ごしていたら、命を落とすことなく幸せに過ごすことができたはずです。
★ 大人の人の中にも欲張りな人がいます。欲張ると戦争や争いがおきたりします。自分が今、得ているもので感謝し生活することが大切です。これは、トルストイの「人にはどれほどの土地がいるか」というお話を子供向けにお話ししたものです。
まとめ 矢澤園長)
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