山形県鶴岡市にある「社会福祉法人 地の塩会 荘内教会保育園」
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ザアカイよ、急いで降りて
2020年6月8日
(礼拝カード NO.9 お話 奈緒先生)
★ ザアカイさんはエリコという町の税金とり。道ばたに構えていて通行税をとるのですが、あくどいやり方で、大もうけをしています。貧しい人、困っている人からも手加減しないで取り立てるものですから、ザアカイはエリコで一番の嫌われ者。友達になる人は誰もいません。
★ 凄い立派なお家、沢山の御馳走、いい着物を着てぜいたくに暮らしていましたが、彼の心にはいつも大きな穴が空いたよう。冷たい風が吹きまくっているのです。
★ そんなある日、外が異常に騒がしいので、聞いてみると、もうすぐこの町にイエスさまという人が来る、というのです。彼は余りよく知りませんでしたが、何故か興味をそそられ、自分も何とかお会いしてみたい、と思ったのです。ところが、ザアカイは太っちょで、背が低かったので、みんなの人垣に阻まれて前へ進めません。
★ そこでどうしたと思います?近くに適当な木があるのを見つけると、スルスル。なぜか木登りはうまかったんです。・・・しばらくすると、大勢の人に囲まれながらやってきた人が、何とその木の前でピタリと止まったのです。「えっ、どうしたのだろう?」と思ってると、その人は目をこっちにまっすぐに向けた・・・ああ、それは何と優しい輝く目だったことでしょう。
★ そんな顔をそれまで見たことはありません。まぶしいお日さまを仰いでいるような暖かくて、小さい頃死んだお母さんの顔に似ているけど、それよりずっとずっとなつかしい慕わしいじぶんを包みこんでくれるようなお顔です。見とれていると・・
★ 「ザアカイさん、はやーくおりてきなさい!今夜あなたのお家に泊めてくださいな」。・・・何と思いがけない言葉だったでしょう。一瞬キョトンとして・・・(え、こんなに沢山人がいるのに、わ、わしの家に・・・でもどうしてわしの名前まで知っているんだろう・・・)。でもの人は同じ優しい目で、じっと黙って見つめています。あたりは水をうったような静けさ。みんなザアカイを見つめています。彼の心臓は早鐘のように打ち出した・・・そして「はは、はいっ、いいですとも。イエスさま。イエスです」。どうしてか自分でもわからないユーモアが飛び出していました。みなどっと笑いました。でも、そういう彼の目には・・・そう、大粒の涙です。「あっ、ザアカイが泣いているぞ」と、誰かの声。
★ でもザアカイは平気。スルスルと、凄い速さで木から下りたザアカイ。うれしくて嬉しくて、天にも昇るキモチとはこのことです。「さあ、イエスさま、私の家はこっちです。お弟子さんもいるようですね。どうぞみんなお出でください」。
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